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鍋のスープは飲んでいい?管理栄養士が食塩相当量で考えます

鍋のスープは飲んでいい?
コスモス

こんにちは、管理栄養士のコスモスです。

具のうまみが溶け出した、あの汁。つい飲みたくなりますよね。でも「全部飲んでいいのかな」と手が止まる方も多いと思います。この記事では、その迷いに食塩相当量という数字で答えます。食塩相当量とは、食品に含まれるナトリウムを、食塩の重さに置きかえて示した数字のこと。パッケージの栄養成分表示で見かける、あの項目です。

この記事でわかること

  • 鍋の汁を100ml飲むと、食塩相当量がどれくらいになるか
  • 1日の目標量と比べて、それがどのあたりに位置するか
  • 締めの雑炊やうどんは、実質「汁を飲む」ことになるという話
  • 全部我慢しないための、現実的な線引き

先に結論です。飲んではいけない、という決まりはありません。ただ鍋の汁は、思っているより濃い液体です。だからこそ「どこまで飲むか」を先に決めておくと、あとがラクになります。

鍋のスープには食塩がどれくらい入っているの?

まず、汁そのものの濃さから確かめましょう。

味の素の「鍋キューブ」は、1人分の使用目安が「水180mlに固形キューブ1個」と公式に案内されています。鯛と帆立の極みだし鍋なら、キューブ1個(8.5g)あたりの食塩相当量は3.4gです。

出典: 味の素株式会社 公式商品ページ(鍋キューブ 鯛と帆立の極みだし鍋・2026年8月確認)

目安どおりに作ると、1人分の汁は約188gになります。そこに食塩3.4gが溶けている計算です。汁100gあたりに直すと、およそ1.8g。これを飲む量ごとに並べると、次のようになります。

飲んだ汁の量(目安)食塩相当量
100ml約1.8g
150ml約2.7g
1人分の鍋つゆに含まれる食塩の全量(汁 約188ml分)3.4g

出典: 味の素株式会社 公式商品ページの表示値と使用目安をもとに当ブログで計算した数値です(各社の公表値ではありません)。汁の重さと体積はほぼ同じとみなして換算しています

なおこれは、つゆを水に溶かしただけの状態で計算した数字です。実際の鍋では、煮ている間の蒸発や具材から出る水分で濃さが動きます。3行目も、具材に吸われる分まで含めた1人分の上限にあたる数値。ぴったりの実測値ではなく、目安として見てくださいね。

同じ鍋キューブでも、今回確認した5種はキューブ1個あたり2.8gから3.7gの幅がありました。ここでは、そのうちの1種で計算しています。

出典: 味の素株式会社 公式商品ページ(鍋キューブ 鶏だし・うま塩/濃厚白湯/鶏だしコク醤油/鯛と帆立の極みだし鍋/うま辛キムチ・2026年8月確認)

ストレートタイプの鍋つゆなら、パッケージの数字がそのまま汁の濃さになります。私が今回確認した各社のストレートタイプでは、100gあたりの食塩相当量はおよそ1.8gから2.9gの範囲でした。

出典: ミツカン「〆まで美味しい」の寄せ鍋つゆ・キムチ鍋つゆ・濃厚みそ鍋つゆ・焼あごだし鍋つゆ。

キッコーマン「濃厚豆乳鍋 コク旨鶏白湯」、モランボン「ごま担々鍋用スープ」。

いずれもストレートタイプで、各社の公式商品情報(2026年8月確認)です。

今回計算した鍋キューブの例は、この範囲の低いほうと同じくらいでした。ただしストレートタイプには、商品による幅があります。またポーションタイプは、薄めるときの水の量を公式の商品ページで見つけられず、同じ計算ができていません。

ざっくり覚えるなら「汁100mlで食塩およそ2g弱」。商品によってはこれより濃いものもありますが、まずはこの換算を目安にしてください。

スープを飲み切ると、1日の目標量のどれくらい?

次に、この数字を1日の中に置いてみます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」には、食塩相当量の目標量が示されています。目標量とは、生活習慣病の発症を防ぐために目指したい量のことです。

区分1日あたりの食塩相当量
成人男性(18歳以上)の目標量7.5g未満
成人女性(18歳以上)の目標量6.5g未満
(参考)男性(20歳以上)が実際に食べている平均10.5g
(参考)女性(20歳以上)が実際に食べている平均8.9g

出典: 目標量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」スライド集(ナトリウムの食事摂取基準)。

平均値は厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」です。

ここで注意したいのが、下の2行の読み方です。これは「いま食べている量の平均」であって、目指す数字ではありません。目標量とは別物なので、混ぜないでくださいね。

さて、1人分に入れた食塩3.4gをまるごと取ったとすると、どうなるでしょうか。女性の目標量6.5gなら、半分を超えます。男性の7.5gでも、4割半ばを占める計算です。

もちろん1日は鍋だけではありません。朝食のパンにも、昼のお弁当にも、しょうゆやドレッシングにも塩分は入っています。汁を飲み切ると、その日の残りがかなり窮屈になる。そう考えるとイメージしやすいと思います。

締めの雑炊やうどんは、スープを飲むのと同じ?

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

汁を残したつもりでも、締めを作ると話が変わります。雑炊のごはん、うどん、ラーメン、おもち。どれも汁を吸わせて食べる料理だからです。

締めに使う主食そのものは、塩分をあまり持っていません。

締めの主食(100gあたり)エネルギー食塩相当量
ごはん(精白米・炊いた状態)156kcalほぼ0g
うどん(ゆで)95kcal0.3g
中華めん(ゆで)133kcal0.2g
もち223kcalほぼ0g

出典: 文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表 八訂 増補2023年)

※データベースの表示は0ですが、微量(Tr)との区別まではその表示から確認しきれていないため、「ほぼ0」と記しています

ごはんともちは、ほぼ0です。ゆでた麺は100gで0.2gから0.3gなので、1玉分ではもう少し乗ります。

主食が持ち込む塩はごくわずかなので、締めの塩けはほぼ全部が汁由来です。残った汁を米や麺が吸い、それを最後の一口まで食べる。飲まなかったはずの汁が、形を変えて口に入るわけです。

エネルギーの上乗せもあります。もちは100gで223kcal、ごはんの156kcalより多めです。雑炊のあとにうどん、という日は、そこも頭の片隅に置いておきたいところ。

生麺を鍋に直接入れるとどうなる?

麺には、もうひとつ見落としやすい点があります。

成分表で見ると、うどんは「生」で100gあたり食塩相当量2.5g、「ゆで」で0.3gです。ゆでる工程で、麺の塩が湯へ出ていくためですね。ただし生の麺は、ゆでると水を吸って重くなります。だからこの2つの数字は、同じ量の麺どうしの比較ではありません。

出典: 文部科学省「食品成分データベース」(うどん 生/うどん ゆで)

それでも、生麺を鍋へ直接入れれば、麺の塩が汁に残る点は変わりません。汁の量はそのままで、塩だけが足される形です。締めの麺は別ゆでしてから入れる。ひと手間ですが、意味のある手間だと思います。

スープを我慢しないための線引きはどこ?

ここまで数字を見てきましたが、「汁は一滴も飲まない」を目指す必要はないと思います。落としどころを4つ挙げてみますね。

取り皿に注ぐのは1杯まで

鍋がやっかいなのは、飲んだ量が分からなくなる点です。鍋から直接すすると、もう数えられません。

だから汁は取り皿に注いで、そこで打ち止めにします。取り皿に注ぐ汁は、だいたい100mlくらいが1杯分。1杯までと決めておけば「食塩およそ2g弱」と見積もれます。大きめの器を使う日は、2杯分と数えておくと安心ですね。量が見えるだけで、判断はかなりラクになりますよ。

締めは「汁を減らしてから」作る

締めをあきらめる必要もありません。ポイントは、残った汁を全部使うか、減らしてから使うかです。

おすすめは、締めに入る前におたまで何杯か汁をすくって取り除くこと。水で薄める方法もありますが、それだと塩の総量は変わりません。減らすべきは濃さではなく、量そのものです。

具を増やす

具が多いと、お腹は具のほうで満たされます。汁をすくって飲む量も、自然と少なくなりますよね。さらに白菜やきのこからは水分が出るので、汁の濃さそのものは下がる方向です。塩の量は変わらないまま、水だけが増えるからですね。しかも鍋の具材そのものは、ほとんど塩を持っていません。

鍋の定番具材(100gあたり)エネルギーたんぱく質食塩相当量
はくさい(生)13kcal0.8gほぼ0g
ぶなしめじ(生)26kcal2.7gほぼ0g
木綿豆腐73kcal7.0gほぼ0g
まだら(生)72kcal17.6g0.3g
鶏もも肉(皮つき・生)190kcal16.6g0.2g

出典: 文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表 八訂 増補2023年)

※こちらも、データベースの表示が0のものは「ほぼ0」と記しています

具を足しても塩分はほぼ増えず、たんぱく質と野菜だけが増えます。この「やめるより具だくさん」という考え方は味噌汁とまったく同じなので、詳しくは味噌汁の塩分は気にするべき?にまとめています。

たらや鶏ももを選べば、たんぱく質もしっかりとれます。ほかの食材の数値は高たんぱく低脂質の食品一覧をどうぞ。

鍋つゆそのものを選び直す

そもそも使う鍋つゆを変える手もあります。ただ商品ごとの数値は表示の基準がバラバラで、そのまま並べると読み違えます。商品を横断して比べた結果は、鍋の素で塩分が少ないのはどれ?にまとめました。

よくある質問

Q. 水を足して薄めれば、塩分は減りますか

同じ量を飲むなら減ります。でも全部飲むなら変わりません。水を足しても、鍋に入れた塩の総量はそのままだからです。薄まるのは濃さだけ、と覚えてください。

Q. 締めをやめれば、汁の塩分は気にしなくていいですか

汁から入る量はかなり減ります。ただしゼロにはなりません。具の表面や内側にも汁は入り込んでいるからです。

Q. キムチ鍋のスープは特に塩分が多いですか

商品によります。たとえばミツカンの同じシリーズで見てみます。寄せ鍋つゆストレートが100gあたり2.0g、キムチ鍋つゆストレートが2.9gでした(出典: ミツカングループ 公式商品情報)。ただしこれはシリーズ内での話です。味の系統だけで決めつけないほうが安全だと思います。

Q. 表示を見ても、商品どうしを比べられません

そのとおりで、表示の基準が3種類に分かれているためです。「固形キューブ1個あたり」「ポーション1個あたり」「100gあたり」の3つ。前の2つは薄める前の数字で、最後は汁そのものの数字です。ここをそろえないと比較になりません。

1人前ずつ包装された商品でも、表示が「100gあたり」のことがあります。たとえばミツカン「〆まで美味しい 寄せ鍋つゆ ミニパック」を見てみます。内容量32gの濃縮タイプで、100gあたりの食塩相当量は13.4gという表示です(出典: ミツカングループ 公式商品情報)。1袋を使い切った場合は、単純計算で約4.3g。ただし濃縮タイプなので、水で薄めて1人分にする商品です。加える水の量は今回確認したページでは見つけられませんでしたが、薄めたあとの汁で見れば、ここまでに出てきた濃さと桁違いになるわけではありません。表示の基準が違うだけ、というのがこの例の中身です。数字の大きさに驚く前に、まず基準の欄を確かめてくださいね。

Q. 残った汁を翌日のスープに使ってもいいですか

塩の量はそのまま持ち越されます。使うなら、水や具を足して量を増やし、何人かで分ける方向が現実的です。保存の面でもひとつだけ。鍋に入れたまま室温で置かず、浅い容器に移して早く冷まし、冷蔵庫へ入れてください。食べるときは、しっかり加熱してからにしましょう。

まとめ

  • 鍋の汁はおおよそ100mlで食塩2g弱。1人分に入れた食塩は3.4gという計算例
  • 目標量は成人男性7.5g未満・成人女性6.5g未満。3.4gをまるごと取ると女性は半分超
  • 締めの主食が持ち込む塩はごくわずか。締めの塩分は、吸わせた汁の分がそのまま入る
  • 生麺を直接入れると、麺の塩も汁に足される
  • 全部我慢するより「取り皿1杯まで」「締め前に汁を減らす」で十分

鍋は野菜もたんぱく質も一度にとれる、とても効率のいい料理です。汁の扱いだけ決めておけば、気負わずに楽しめます。1日にどれくらいたんぱく質がとれているか気になる方は、たんぱく質のかんたん計算機も使ってみてください。ほかの計算ツールは無料ツールまとめにそろえています。

※治療中の方は、主治医や担当の管理栄養士の指示を優先してください。

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