スキムミルクと牛乳の違いは?代用の換算早見表つき
こんにちは、管理栄養士のコスモスです。
牛乳を切らした朝、戸棚のスキムミルクが目に入ることはありませんか。水に溶かせば代わりになるのか、なるなら何グラム必要なのか。ここは迷いやすいところですよね。
この記事では、その換算をメーカーと業界団体の公式情報だけでまとめました。あわせて、代用が向く場面と向かない場面も整理しています。
先に結論
一般的な濃さの目安は、スキムミルク1:水9です。牛乳100mlを置き換えるなら粉10g+水90ml、200mlなら粉20g+水180mlが目安。ただし、できあがるのは無脂肪牛乳に近い濃さで、牛乳の脂肪やコクまで同じにはなりません。商品の表示がある場合は、そちらを優先してください。
この記事でわかること
- スキムミルクと牛乳が、法令と成分の両面でどう違うか
- 牛乳の代わりに使うときの換算早見表(公式に示されている値だけを掲載)
- 「牛乳◯ml相当」と言い切れない理由
- 飲む・料理・コーヒーなど、場面ごとの向き不向き
- ダマにせずきれいに溶かすコツ
スキムミルクと牛乳の違いは?
スキムミルクは牛乳から何を抜いたもの?
森永乳業の公式FAQでは、スキムミルク(脱脂粉乳)を次のように説明しています。生乳や牛乳から乳脂肪分を除き、さらにほとんどの水分を飛ばして粉状にしたもの、という内容です。
つまり、抜けているのは「乳脂肪」と「水分」の2つ。各社が公開している商品情報の「種類別」欄を見ると、雪印メグミルク・よつ葉乳業・森永乳業の家庭用スキムミルクは、いずれも脱脂粉乳と表示されています。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年には、スキムミルクという名前の食品は独立して載っていません。成分表でスキムミルクにあたるのは、脱脂粉乳(食品番号13010)です。
法令では牛乳とどう区別されているの?
ルールを決めているのは「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」(昭和二十六年厚生省令第五十二号)です。略して乳等命令と呼ばれます。2024年4月1日施行の改正で、それまでの「乳等省令」から名前が変わりました。
この命令では、牛乳は「乳」、脱脂粉乳は「乳製品」に分類されています。カテゴリーそのものが別、というわけですね。
成分規格を並べると、違いがはっきりします。
| 項目 | 牛乳 | 脱脂粉乳 |
|---|---|---|
| 乳等命令上の区分 | 乳 | 乳製品 |
| 無脂乳固形分 | 8.0%以上 | 規定なし |
| 乳固形分 | 95.0%以上 | |
| 乳脂肪分 | 3.0%以上 | 規定なし |
| 水分 | 5.0%以下 |
出典:乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(昭和二十六年厚生省令第五十二号)別表 二(二)(1)牛乳、二(三)(17)脱脂粉乳
脱脂粉乳の成分規格は乳固形分・水分・細菌数・大腸菌群の4項目で、乳脂肪分の規格はありません。牛乳側の空欄は、この表で扱っていない項目です。牛乳にも比重など、ここに挙げていない規格があります。
見慣れない言葉が2つ出てきたので、先に説明しますね。無脂乳固形分は、牛乳から水分と乳脂肪を除いた残りのこと。たんぱく質や乳糖(牛乳に含まれる糖)、ミネラルなどが入ります。乳固形分のほうは、水分だけを除いた残り全部を指す言葉です。
注目したいのは、脱脂粉乳に乳脂肪分の規格がない点。ちなみに全粉乳、つまり牛乳を脂肪ごとまるごと粉にしたものには「乳固形分95.0%以上、うち乳脂肪分25.0%以上」という規定があります。脂肪の扱いが、両者を分ける線になっています。
成分はどれくらい違うの?
食品成分表の数値で比べてみます。表に出てくる脱脂乳は、牛乳から乳脂肪を抜いた「液体」のことです。これを粉にしたものが脱脂粉乳で、名前は似ていても別の食品になります。
| 100gあたり | 脱脂粉乳(粉) | 普通牛乳(液体) | 脱脂乳(液体) |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 354kcal | 61kcal | 31kcal |
| たんぱく質 | 34.0g | 3.3g | 3.4g |
| 脂質 | 1.0g | 3.8g | 0.1g |
| 炭水化物 | 53.3g | 4.8g | 4.8g |
| カルシウム | 1100mg | 110mg | 100mg |
| 食塩相当量 | 1.4g | 0.1g | 0.1g |
出典:文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
ここで一つ注意があります。脱脂粉乳は粉で、牛乳と脱脂乳は液体です。同じ100gで並べると、水分を含まない粉のほうが数字は当然大きく出ます。実際の使い心地を比べたいなら、水に溶かした状態で見てください。
食塩相当量の1.4gも、粉100gあたりの値です。実際に使う20gに直すと0.3g弱。牛乳のほうは成分表の値で100gあたり0.1gなので、200gなら0.2gになります。粉と液体で基準がずれないよう、ここは重さにそろえて比べました。
もう一つ補足を。抜けているのは乳脂肪と水分で、乳糖はそのまま残ります。成分表の内訳を見ると、脱脂粉乳の利用可能炭水化物(体に吸収されるでんぷんや糖の量)は、ほぼ全量が乳糖です。牛乳を飲むとおなかの調子が気になる方にとって、スキムミルクが必ず代わりになるとはかぎりません。
牛乳の代わりにスキムミルクは使える?換算早見表
まず使える代用の換算早見表
| レシピの牛乳量 | スキムミルク | 水 |
|---|---|---|
| 100ml | 10g | 90ml |
| 200ml | 20g | 180ml |
| 300ml | 30g | 270ml |
| 500ml | 50g | 450ml |
※よつ葉乳業が示す「粉10g+水90mlで約100mlの無脂肪牛乳と同程度の濃さ」を比例換算しました。牛乳の乳脂肪やコクは再現されません。焼き菓子やパンは水分・油脂の配合にも影響するため、レシピの指定を優先してください。
ここからが本題です。メーカーや業界団体が公式に出している換算を、そのまま並べます。
| 出典 | 粉と水の目安 | そろうもの |
|---|---|---|
| 雪印メグミルク | 20g+水180ml | 牛乳200mlと同じカルシウム240mg |
| よつ葉乳業 | 10g+水90ml | 約100mlの無脂肪牛乳と同程度の濃さ |
| Jミルク | 大さじ3(溶かす水量の記載なし) | コップ1杯の牛乳と同程度のカルシウム |
出典:雪印メグミルク お客様センターFAQ、同ニュースリリース(2025年8月27日)
出典:よつ葉乳業オンラインショップ 商品ページおよび読みもの記事/一般社団法人Jミルク
「そろえた基準」の列は、各社の書き方から私が整理したものです。4行が同じ物差しで並んでいるわけではない点に、どうぞご注意ください。
なお森永乳業は、公式サイトで溶かし方だけを案内しており、換算量の案内は見当たりませんでした(2026年8月時点)。
表の240mgと、成分表から計算した値がずれる点にも触れておきますね。成分表の脱脂粉乳は100gあたり1100mgなので、20gなら220mgになります。いっぽう各社が示す240mgは、自社製品にもとづく数字。雪印メグミルクとよつ葉乳業のスキムミルクは、どちらも100gあたり1200mgと表示されています。いちばん確実なのは、手元の商品の栄養成分表示を見ることでしょう。
大さじで測るなら何杯?
雪印メグミルクは、2025年8月27日のニュースリリースで大さじ1杯を約8gとしています。この重さで計算すると、20gは大さじ約2.5杯です。
一方でJミルクは大さじ3杯と案内しています。ただし書き方は「コップ1杯の牛乳と同じくらい」で、引用した記述では、コップ1杯が何mlかまでは示されていません。数字が合わないというより、比べる前提がそろっていない、と考えるのが正確でしょう。
きっちり合わせたいなら、大さじよりキッチンスケールが確実です。小さじ1杯の重さは、今回確認した各社の公式サイトでは見つけられませんでした。
溶かすと栄養はどう変わる?
よつ葉乳業が、自社製品どうしで比べた実数を公開しています。
| 比較 | エネルギー | たんぱく質 | カルシウム |
|---|---|---|---|
| 北海道スキムミルク20g+水180ml | 71.8kcal | 7.24g | 240mg |
| よつ葉北海道脱脂粉乳20g+水180ml | 記載なし | 7.12g | 240mg |
| 特選よつ葉牛乳200ml | 140kcal | 7.0g | 233mg |
出典:よつ葉乳業オンラインショップ「スキムミルク(脱脂粉乳)に含まれる栄養は?牛乳との比較やレシピも紹介!」
たんぱく質とカルシウムは近い一方、乳脂肪が少ないぶんエネルギーは半分近くまで下がります。つまり「たんぱく質・カルシウムを補う」という点は近くても、エネルギーやコクは牛乳と同じではありません。
雪印メグミルクも「同量の牛乳に比べ」たんぱく質とカルシウムが1割ほど多い、と説明しています。ただし、この「同量」が粉のままなのか溶かした後なのかまでは書かれていません。先ほどの100gあたりの表は粉のままの数値なので、この「1割」と重ねて読まないほうが安全でしょう。
たんぱく質の目安量が気になる方は、たんぱく質は1日どれくらい?50gの献立例と女性の目安量もあわせてどうぞ。今日の摂取量をざっと出したいときは、かんたん計算機が使えます。
「牛乳◯ml相当」と言い切れないのはなぜ?
早見表を見て、気づいた方もいるかもしれません。私が資料を見比べていていちばん引っかかったのも、ここでした。どのメーカーも「牛乳◯ml相当」とは書いていないのです。
書いてあるのは「カルシウム量が同じ」か「無脂肪牛乳と同程度の濃さ」まで。理由は単純で、抜けた乳脂肪は水を足しても戻らないからです。
よつ葉乳業も、通常の牛乳と同じ濃さにしたいなら全粉乳13gを90gの温水で溶く方法を案内しています。脱脂粉乳を溶いたものは、あくまで無脂肪牛乳に近い液体だと考えてください。
スキムミルクの代用が向く場面・向かない場面は?
ここは管理栄養士としての判断も交えて整理します。
向いていると考えられる場面
- 脂質を抑えつつ、たんぱく質やカルシウムを足したいとき
- スープやシチューなど、加熱して混ぜる料理
- 牛乳の買い置きが難しく、粉のまま置いておける形が助かるとき
よつ葉乳業のレシピでは、2人分の根菜入りミルクスープに水400mlとスキムミルク大さじ4を使っています。汁ものは、粉のまま加えるのではなく先に溶かすのがポイント。
慎重にしたい場面
- そのまま飲む場合。よつ葉乳業は、牛乳よりあっさりして物足りなさを感じる場合があると明記しています
- コーヒーに入れる場合。ミルク感は出せますが、コーヒー用クリームとは風味やコクが異なるとされています
置き換え量の目安が見つからなかった場面
パン作りやヨーグルト作りの置き換え量は、今回確認した各社の公式サイトでは見つけられませんでした。水分量が変わるぶん、そのまま置き換えられる保証がないのかもしれません。
ヨーグルトを牛乳以外で作れるかどうかは、低脂肪乳や加工乳でもヨーグルトは作れる?で別途まとめています。
私が管理栄養士としてお伝えするなら、出発点はいつも手元の商品の表示です。同じスキムミルクでも、商品によって成分値は少しずつ違います。
スキムミルクをダマにせず溶かすコツは?
各社の案内に共通しているのは「熱湯を使わない」という一点です。
- 雪印メグミルクは50〜60℃くらいのお湯をすすめています
- 森永乳業の目安は、水から60℃くらいのお湯です
- よつ葉乳業は、冷水も熱湯も溶けにくいとして50℃以上の温水をすすめています
温度の幅は少しずつ違うものの、熱湯を避ける点は3社とも同じでした。
よつ葉乳業が挙げているコツも紹介しておきます。
1. 粉に湯を注ぐのではなく、温水に粉を浮かせて広げる
2. かき混ぜながら少しずつ加える
3. 砂糖などと一緒に使うなら、先に粉同士を混ぜておく
4. とろみの出る料理は、とろみがつく前に溶かしておく
5. 泡立て器を使って混ぜる
汁ものに入れるときは、いったん少量のぬるま湯で溶いてから加えるとダマになりにくい、と森永乳業も案内しています。
保存にも一言。雪印メグミルクは、湿気を吸って固まると溶けにくくなると注意を促しています。開封後はしっかり密閉して、保存方法は商品の表示を確認してくださいね。
スキムミルクと低脂肪牛乳は何が違う?
ここで一つ整理を。乳脂肪分0.5%以上1.5%以下という規格があるのは、種類別「低脂肪牛乳」です。牛乳の3.0%以上と比べると、脂肪を抑えた液体という位置づけになります。
食品成分表に載っている液状の乳類のうち、「低脂肪」と名のつくものは「加工乳/低脂肪」(食品番号13005)だけです。売り場の「低脂肪乳」という呼び方と、法令の種類別表示は必ずしも一致しません。パッケージの種類別表示が「低脂肪牛乳」なのか「加工乳」なのかを確かめてみてくださいね。
そのうえで、スキムミルクと低脂肪牛乳の実用上の違いは次の3点です。
1. 粉か液体か。スキムミルクは、使う前に溶かす手間がかかります
2. 乳脂肪の量。低脂肪牛乳は0.5%から1.5%で、スキムミルクは乳脂肪をほとんど含まないと雪印メグミルクが説明しています
3. 乳等命令の区分。低脂肪牛乳は「乳」、脱脂粉乳は「乳製品」という扱いです
牛乳・加工乳・乳飲料の線引きから知りたい方は、牛乳と乳飲料の違いは?どっちがいいか管理栄養士が解説をご覧ください。カロリーの比較は低脂肪乳はダイエット向き?、味の物足りなさが気になる方は低脂肪乳がまずい・薄い理由は?が参考になります。
低脂肪乳とスキムミルクで迷っている方は、低脂肪乳とスキムミルクの違いは?用途別どっちが得かもどうぞ。用途ごとの損得をまとめました。
よくある質問
Q. スキムミルクと脱脂粉乳は別のものですか。
種類別表示はどちらも脱脂粉乳で、成分表でスキムミルクにあたるのも脱脂粉乳です。ただし雪印メグミルクと森永乳業は、家庭用のスキムミルクを「脱脂粉乳を溶けやすいように顆粒状へ加工したもの」と説明しています。中身は同じ脱脂粉乳で、溶けやすさに手を入れた形と考えてください。
Q. 熱湯で溶かしてもいいですか。
おすすめできません。雪印メグミルクは、熱湯だとダマができてかえって溶けにくくなると案内しています。
Q. 牛乳200mlの代わりに何グラム使えばいいですか。
カルシウム量をそろえるなら、雪印メグミルクは20gを水180mlに溶かす方法を示しています。ただし乳脂肪は戻らないため、味やコクまで同じにはなりません。
Q. 溶かしたスキムミルクは牛乳と呼べますか。
呼べません。よつ葉乳業の説明では、脱脂粉乳を溶いたものは無脂肪牛乳とほぼ同じ濃さになります。牛乳そのものとは別の液体です。
Q. どのメーカーの換算が正解ですか。
一つに絞れないのが正直なところ。雪印メグミルク、よつ葉乳業、Jミルクで、そろえている基準や書き方が違うためです。お手元の商品のパッケージ表示を優先してください。
まとめ
最後に要点を並べておきます。
- スキムミルクは牛乳から乳脂肪と水分を抜いた粉で、乳等命令では「乳製品」に分類される
- 牛乳は「乳」で、乳脂肪分3.0%以上という規格がある
- 換算の目安は、雪印メグミルクが20gと水180ml、よつ葉乳業が粉1に対して水9
- どのメーカーも「牛乳◯ml相当」とは書いておらず、そろうのはカルシウム量や濃さまで
- 溶かすときは熱湯を避ける。各社の案内は50〜60℃、水から60℃、50℃以上と幅があるので、手元の商品の表示に合わせる
脂質を抑えながらたんぱく質とカルシウムを足したいときに、頼りになる食材です。牛乳とまったく同じものにはならない点だけ、頭の片隅に置いて使ってみてください。
主な参考資料
- 文部科学省 食品成分データベース「脱脂粉乳」
- 文部科学省 食品成分データベース「普通牛乳」
- 厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」
- 雪印メグミルク お客様センターFAQ
- よつ葉乳業「よつ葉北海道脱脂粉乳」
- Jミルク「スキムミルクを使ってみよう」
持病などで食事制限のある方は、主治医や担当の管理栄養士の指示を優先してください。