低脂肪乳とスキムミルクの違いは?用途別どっちが得か
こんにちは、管理栄養士のコスモスです。
低脂肪乳とスキムミルク、どちらも「脂肪をおさえた乳のなかま」として売られています。ただ、片方は紙パックの液体で、もう片方は袋入りの粉。売り場も違うので、そもそも比べにくいですよね。
この記事では、まず両者の違いを整理します。そのうえで「結局どっちを買えばいいのか」に、用途別で答えていきます。
なお、売り場で低脂肪乳と呼ばれる商品は、種類別名称が「低脂肪牛乳」のものと「加工乳」のものに分かれています。種類別名称とは、パッケージに表示されている区分の名前です。この記事では、その両方をまとめて低脂肪乳と呼びます。
迷ったら、この選び方でOK
- そのまま飲む・手間をかけたくない:低脂肪乳
- 料理に少量ずつ足す・常温で備蓄したい:スキムミルク
- 脂質をできるだけ抑えて、たんぱく質を足したい:スキムミルク
- 価格重視:使い切れるなら大容量のスキムミルクが有利。小袋・送料込みでは差が縮みます
この記事でわかること
- 低脂肪乳とスキムミルクの、法令上の区分と成分の実数の違い
- 飲む・料理・たんぱく質補給という用途別の向き不向き
- ヨーグルト作りで、どこまで言えてどこからは言えないか
- コスパを比べるときの、物差しのそろえ方
- 保存性と使い勝手の差
低脂肪乳とスキムミルクの違いは?液体と粉で立ち位置が変わります
法令では「乳」と「乳製品」に分かれています
牛乳や乳製品のルールは「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」で決まっています。昭和二十六年厚生省令第五十二号で、略称は乳等命令。2024年4月1日施行の改正で、それまでの「乳等省令」から名前が変わりました。
この命令では、低脂肪牛乳は「乳」に分類されます。定義のうえでは、生乳から乳脂肪分などを除いた成分調整牛乳のうち、無脂肪牛乳にあたらないものです。ただし第2条第1項では、成分調整牛乳と低脂肪牛乳は別々に並べられています。パッケージの種類別名称も、それぞれ別の表示になります。
成分規格は、無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分0.5%以上1.5%以下。無脂乳固形分とは、乳から脂肪と水分を除いた残りの成分のことです。たんぱく質やカルシウムなどが、ここに含まれます。
いっぽう脱脂粉乳は「乳製品」のほうに入ります。定義は「生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんど全ての水分を除去し、粉末状にしたもの」。成分規格は乳固形分95.0%以上、水分5.0%以下などで、脂肪分の上限や下限は決められていません。乳固形分とは、水分だけを除いた残り全部の割合のことです。
ここが両者の根っこの違いです。低脂肪牛乳は脂肪の量を法令で決められた液体、脱脂粉乳は水分をほとんど飛ばした粉なんですね。
なお、スキムミルクという名前の食品は、日本食品標準成分表には収載されていません。成分表でスキムミルクにあたるのは脱脂粉乳です。森永乳業も「英語のskimmed milkが語源」と説明しています。
(出典:乳及び乳製品の成分規格等に関する命令 第2条・別表/森永乳業 お客さま相談室)
成分の実数を並べるとこうなります
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値です。可食部100gあたり、つまり食べられる部分100gあたりで並べます。粉も液体も、同じ100gでそろえた数字になります。
| 食品名(100gあたり) | 成分 |
|---|---|
| 加工乳/低脂肪 | 42 kcal たんぱく質 3.8g/脂質 1.0g 炭水化物 5.5g/カルシウム 130mg 食塩相当量 0.2g |
| 脱脂粉乳(粉) | 354 kcal たんぱく質 34.0g/脂質 1.0g 炭水化物 53.3g/カルシウム 1100mg 食塩相当量 1.4g |
| 普通牛乳(参考) | 61 kcal たんぱく質 3.3g/脂質 3.8g 炭水化物 4.8g/カルシウム 110mg 食塩相当量 0.1g |
| 脱脂乳(参考・液体) | 31 kcal たんぱく質 3.4g/脂質 0.1g 炭水化物 4.8g/カルシウム 100mg 食塩相当量 0.1g |
出典:文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
この表の「加工乳/低脂肪」は、種類別でいう「加工乳」の数値です。種類別「低脂肪牛乳」は成分表に収載がないため、近い位置にあるものとして参考にご覧ください。
数字だけ見ると脱脂粉乳が大きく上に見えますが、これは公平な比較ではありません。粉100gと液体100gを、そのまま並べているだけだからです。脱脂粉乳は水分がほぼ抜けているので、そのぶん数字が濃く出ます。
そこで、よつ葉乳業の目安に合わせてそろえてみます。同社は「脱脂粉乳10gを、90mlの水またはぬるま湯で溶くと、約100mlの無脂肪牛乳と同程度の濃さになる」と説明しています。
(出典:よつ葉乳業公式オンラインショップ 商品ページ)
ここで出てきた無脂肪牛乳は、乳等命令で乳脂肪分0.5%未満と決められた種類別名称です。低脂肪牛乳の0.5%以上1.5%以下より、さらに脂肪が少ない区分になります。
では、その約100ml分と、加工乳/低脂肪の100gを並べてみましょう。体積と質量なので、厳密に同じ量ではない点はご了承ください。たんぱく質は3.4g対3.8g、カルシウムは110mg対130mgで、どちらも粉を溶かしたほうがやや低めでした。いっぽう脂質は0.1g対1.0gで、ここだけ大きく下がります。粉側の数値は、成分表の値から私が計算したものです。
なお、表にある「脱脂乳」は液体の食品で、粉の「脱脂粉乳」とは別ものです。一字違いなので、ここは混同しやすいところ。脱脂粉乳10g分の数字は、その脱脂乳の行に近くなります。
なお乳等命令の第2条第1項では、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳がそれぞれ別のものとして並べられています。
(出典:乳及び乳製品の成分規格等に関する命令 第2条第1項)
成分表のほうには、「低脂肪牛乳」という食品名の収載がありません。液状の乳類で低脂肪と名のつくものは「加工乳/低脂肪」だけです。
牛乳と乳飲料の違いは、親記事の牛乳と乳飲料の違いは?どっちがいいか管理栄養士が解説でまとめています。
用途別、低脂肪乳とスキムミルクはどっちが得?
違いの早見表
| 比べる点 | 低脂肪乳 | スキムミルク |
|---|---|---|
| 形 | 液体 | 粉 |
| 手間 | 注いですぐ使える | 飲むときは水に溶かす |
| 得意な用途 | そのまま飲む | 料理・製パン・栄養の上乗せ |
| 乳脂肪 | 低脂肪牛乳は0.5〜1.5% 加工乳は商品表示を確認 | ほとんど含まない |
| 保存 | 要冷蔵 | 未開封は常温保存できる商品が多い |
※「低脂肪乳」は売り場での一般的な呼び方です。法令上の種類別名称は「低脂肪牛乳」または「加工乳」などに分かれるため、パッケージ表示を確認してください。
ここからが本題です。同じ「脂肪をおさえた乳のなかま」でも、使う場面で損得が分かれます。
そのまま飲むなら低脂肪乳が得
飲むだけなら、開けて注げる低脂肪乳のほうがラク。スキムミルクは、水やお湯に溶く手間がかかります。
しかも、溶かしたスキムミルクは牛乳と同じものにはなりません。よつ葉乳業の目安でも、できあがるのは無脂肪牛乳に近い濃さの液体です。乳脂肪は戻らないので、コクの部分は再現されないんですね。
飲み物として選ぶなら、手間の少ない液体が扱いやすいです。味の面では、よつ葉乳業が「牛乳よりもあっさりとしているため、物足りなさを感じる場合があります」と案内しています。
低脂肪乳の味が薄く感じる場合の工夫は、低脂肪乳がまずい・薄い理由は?おいしく飲む5つのコツにまとめました。
ヨーグルト作りなら、粉は量を調整しやすい
ヨーグルトが固まるときの骨組みになるのは、脂肪ではなく、カゼインを中心とする乳たんぱく質です。脂肪は主にコクや口当たりに関わるため、低脂肪乳や、スキムミルクを溶いた液体でも発酵・凝固は可能です。
スキムミルクは粉なので、乳固形分やたんぱく質の濃さを調整しやすいのが利点です。ただし、仕上がりは商品の成分、種菌、加熱・発酵温度、ヨーグルトメーカーの仕様でも変わります。必ず製品と機器の説明書を優先してください。
低脂肪乳や加工乳でヨーグルトが作れるかどうかは、低脂肪乳や加工乳でもヨーグルトは作れる?で詳しく扱っています。作り方を知りたい方はそちらへどうぞ。
料理に使うならスキムミルクが得
ここはスキムミルクが得意な場面です。理由は、水分を増やさずに乳の成分を足せるから。
スープに牛乳を足すと、そのぶん量が増えて味が薄まります。粉なら、水分量を変えずに済みますよね。よつ葉乳業も、シチューのようにとろみが出る料理では「とろみが出る前に溶かしておく」ことをすすめています。
溶かすときのコツも、メーカーが公開しています。
- 熱湯だとダマになるので、50〜60℃くらいのお湯で溶かす(雪印メグミルク)
- 冷水と熱湯では溶けにくいため、50℃以上の温水を使う(よつ葉乳業)
- 汁ものは、いったん少量の水かぬるま湯に溶いてから加える(森永乳業)
- とろみが出る料理は、とろみがつく前に溶かしておく(よつ葉乳業)
- 温水に粉を浮かせて拡散させ、泡立て器で混ぜながら溶かす(よつ葉乳業)
コーヒーに使う場合の注意もあります。よつ葉乳業は「一般的なコーヒー用クリームとは風味やコクが異なります」としたうえで、「コーヒーにミルク感を持たせることはできる」と書いています。クリームと同じものを期待せず、ミルク感を足すつもりで使うのがよさそうです。
たんぱく質を足したいときもスキムミルクが得
粉のまま足せるので、かさを増やさずにたんぱく質を上乗せできます。
雪印メグミルクによると、「毎日使える スキムミルク」は大さじ1杯(約8g)でカルシウム96mg、たんぱく質2.9gが摂れます。ヨーグルトなら大さじ1杯を混ぜるだけ。スープに使うときは、さきほどの溶かし方(少量のぬるま湯で溶いてから加える)でどうぞ。
出典:雪印メグミルク ニュースリリース(2025年8月27日)
同じ2.9gを液体で足すと、どうなるでしょうか。成分表の「加工乳/低脂肪」はたんぱく質3.8g(100gあたり)なので、約76g分だけかさが増える計算になります。普通牛乳(同3.3g)なら約88g分です。どちらも成分表の値から私が計算しました。
1日にどれくらいのたんぱく質が要るのかは、たんぱく質は1日どれくらい?50gの献立例と女性の目安量にまとめました。いまの不足分は、今日のたんぱく質、足りてる?かんたん計算機で確かめられます。
なお、メーカーごとに換算の示し方が違う点は、スキムミルクと牛乳の違いは?代用の換算早見表つきでまとめて扱っています。この記事ではよつ葉乳業の目安だけを使っています。
低脂肪乳とスキムミルクはどっちがコスパがいい?
先に比べ方をお伝えします。牛乳の値段は、店によって違います。雪印メグミルクは価格改定資料で、牛乳などを「希望小売価格を設定しておりません。」としています。全国共通の定価がある商品ではない、ということですね。
(出典:雪印メグミルク 価格改定のお知らせ 別紙・2025年1月16日)
ですので、店頭の値札から自分で計算するのがいちばん確実です。粉は「溶かすと何L分になるか」に直してから、液体の1000mlあたりの単価と比べてください。
参考として、よつ葉乳業の公式オンラインショップで2026年8月5日に確認した税込価格を並べます。いずれも送料は別です。同社は税込6,000円以上の利用で送料300円(沖縄県のみ1,500円)としています。それ未満の送料は、購入手続きの画面でご確認ください。
| 商品 | 価格(税込) | 1L相当あたりの単価 |
|---|---|---|
| 北海道スキムミルク 150g(約1.5L相当) | 306円 | 約204円 |
| よつ葉北海道脱脂粉乳 1kg(約10L相当) | 1,284円 | 約128円 |
| 特選よつ葉低脂肪牛乳 500ml | 194円 | 388円 |
| 特選よつ葉無脂肪牛乳 500ml | 181円 | 362円 |
| 特選よつ葉牛乳 1000ml | 362円 | 362円 |
出典:よつ葉乳業公式オンラインショップ 各商品ページ(2026年8月5日確認)。1L相当あたりの単価は、私が計算した参考値です。
粉の「1L相当」は、よつ葉乳業の目安(10gを90mlで約100ml)で溶かしたときの量です。できあがるのは無脂肪牛乳に近い濃さの液体で、低脂肪牛乳そのものではありません。
粉のL数は、よつ葉乳業の目安から計算しました。同社は「脱脂粉乳10gを、90mlの水またはぬるま湯で溶くと、約100mlの無脂肪牛乳と同程度の濃さになる」と説明しています。この目安なら100gで約1L分。1kg袋で計算すると1L相当あたり約128円、150g袋なら約204円になります。同じ商品でも、袋の大きさで単価が1.5倍以上変わるんですね。
同じよつ葉乳業の商品どうしで見ると、1L相当あたりは脱脂粉乳1kg袋が約128円、無脂肪牛乳が362円です。溶かす手間と送料を引き受けられるなら、粉のほうが安く付く計算です。ただし150g袋だと約204円になり、差はぐっと縮みます。
ただし、この比較には注意も要ります。粉を溶かしたものは低脂肪牛乳ではなく、無脂肪牛乳に近い濃さの液体です。同じ飲み物として並べているわけではない、という前提を忘れないでください。
また、上の価格は同じ通販サイトの、同じ日の値段です。スーパーの実売価格とは違いますし、全国の相場でもありません。粉は大きい袋のほうが単価は下がりますが、使い切れないなら意味がないですよね。ご自身の使う量で考えるのがおすすめです。
参考までに、雪印メグミルク「毎日使える スキムミルク」のメーカー希望小売価格は140gが342円、380gが775円(いずれも税別)。上の表は税込、こちらは税別なので、そのままでは比べられません。比べるときは、どちらかにそろえてください。
出典:雪印メグミルク ニュースリリース(2025年8月27日)添付資料
保存性と使い勝手はどう違う?
粉のいちばんの強みは、未開封のまま長く置けることです。雪印メグミルク「毎日使える スキムミルク」の賞味期間は、未開封で365日と公表されています。保存の方法は、商品の表示を確認してください。
(出典:雪印メグミルク ニュースリリース・2025年8月27日)
弱点は湿気です。雪印メグミルクは「保存中に湿気を吸って固まってしまった場合も溶けにくくなります」と注意しています。開封後は口をしっかり閉じ、表示に従って早めに使い切ってください。
液体の低脂肪乳は、開けてすぐ使えるのが強み。計量も、溶かす手間もいりません。かわりに、賞味期限は商品の表示に従って早めに飲みきる必要があります。
つまり、こういう使い分けになります。毎日コップに注いで飲む方には液体。たまに料理へ足したいだけの方には粉。買ってから使い切るまでの日数で決めると、失敗が少ないです。
低脂肪乳とスキムミルクのよくある質問
Q. スキムミルクと脱脂粉乳は違うものですか?
どちらも同じものを指す言葉です。森永乳業は、スキムミルク(脱脂粉乳)を「生乳、牛乳の乳脂肪分を除いたものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの」と説明しています。同社は自社の「森永スキムミルク」について、溶けやすいように顆粒状に加工していると案内しています。
Q. 低脂肪乳と低脂肪牛乳は同じですか?
パッケージの「種類別名称」を見るのが確実です。乳等命令で決まっているのは「低脂肪牛乳」という区分で、乳脂肪分0.5%以上1.5%以下と定められています。売り場で低脂肪乳と呼ばれる商品には、種類別名称が「加工乳」のものもあります。成分表に載っている「加工乳/低脂肪」は、そちらにあたる食品名です。
Q. カロリーを抑えたいなら、どちらを選べばいいですか?
飲み物として選ぶなら液体、料理に足すなら粉、という用途で決めるほうが現実的です。ダイエット目的での牛乳との比較は、低脂肪乳はダイエット向き?牛乳とのカロリー・栄養比較にまとめてあります。
Q. スキムミルクがダマになってしまいます。
お湯の温度が原因かもしれません。熱すぎても、冷たすぎても溶けにくくなります。雪印メグミルクは50〜60℃、よつ葉乳業は50℃以上の温水をすすめています。森永乳業は、水から60℃くらいでかきまぜるとよいとしています。粉にお湯を注ぐのではなく、お湯の上に粉を浮かせて散らすとうまくいきやすいです。
まとめ
低脂肪乳とスキムミルクは、どちらが優れているという話ではありません。液体か粉かで、得意な場面が分かれるだけです。
- そのまま飲むなら低脂肪乳。溶かす手間がかからない
- 料理やたんぱく質の上乗せならスキムミルク。水分を増やさずに足せる
- ヨーグルトの凝固は乳たんぱく質が中心。粉は濃さを調整しやすいが、商品・種菌・機器の条件を優先する
- コスパは、粉を「何L分になるか」に直してから液体の1000mlあたりと比べる
- 粉は未開封なら長くもつが、開封後は湿気に弱い
- 液体は開けてすぐ使えるかわりに、期限が短い
「毎日飲むのか、たまに料理へ足すのか」。まずはそこを決めると、選ぶものは自然に決まります。
主な参考資料
- 文部科学省 食品成分データベース「加工乳/低脂肪」
- 文部科学省 食品成分データベース「脱脂粉乳」
- 厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」
- よつ葉乳業「よつ葉北海道脱脂粉乳」
- よつ葉乳業「特選よつ葉低脂肪牛乳」
- 雪印メグミルク「毎日使える スキムミルク」商品情報
- Food Hydrocolloids:脱脂乳の酸性ゲル形成に関する研究
持病などで食事制限のある方は、主治医や担当の管理栄養士の指示を優先してください。